哀れ、あるいは貧しさ

 哀れなるものたちを見た。

 ※以下はネタバレをふんだんに含んでいます。

 うつくしかった。衣装が、背景が、そしてなによりベラが。
 モノクロームは、ときにカラーよりも魅力的だ。想像の余地がある。余白の美。
 カラーになってからは、ベラにとっての冒険、鮮烈な体験だ。
 ミニスカートを履いているときのベラは自由で、長いスカートのときは閉じ込められている。そのように見えた。やはりフェミニズムとミニスカートは切っても切れない関係なのだろう。
 サウンドトラックも良かった。弦楽器がピン、ピンと跳ねる曲が一番好きだ。かわいいので。
 「かわいい喋り方が消えていく」といったようなセリフがあったが、女はバカでなければ愛せない、気に入らない、といった思考が滲み出ていて最悪で最高だった。脚本が上手い。そして粘着質な男は恐ろしいし、哀れだ。
 将軍の趣味の悪さが衣装にも出ているのがまた良い。恐怖政治そのものの将軍は、最後はヤギに〝進化〟させられる。痛快だ。そして哀れだ。
 ベラを独占しようとする男たちは、“poor things”なのだろう。女がいなければ満たされないと思い込んで、その欲求をぶつけている。
 知的になっていくベラはとても魅力的だが、それもまた“poor things”でもあるように思う。貪欲さは貧しさだ。
 そして、最後のベラは、うつくしくもあり、恐ろしかった。冒険を求めたベラは、最後は元いた場所に戻ってきて、冒険をやめてしまう。いつまでも子供ではいられない、とも取れるし、親の呪縛からは逃れられない、とも取れる。皮肉的であり、やはり哀れだ。
 ゴドウィンも哀れな存在であったが、最期はしあわせそうだった。
 ゴドウィンのことは、常にゴッドと呼ばれる。それは愛称である以上に、ベラにとって神(創造主)である、ということだろう。
 全編通して、女は自由であるべきだ、と強く主張していた。それは男との性交だけではなく、女との性交も含まれている。彼女とはシスターフッド的関係であった。

 それはそれとして、黒衣のベラが一番好きだ。ただの趣味である。

 生活としては、免許を受け取りに行った。
 それから昼食は、我が家で勝手にマダムの店と呼んでいるところに行って、ホワイトソースのオムライスを食べた。夕飯は丸亀製麺のきつねうどんを食べた。丸亀製麺のきつねうどんは一時期無くなっていたが、復活してくれて嬉しい。
 そんな感じの一日だった。

 ふと水槽を見たら、げんき(金魚)が垂直になって静止していたので驚いた。すぐに泳ぎ出したが、なんだったのだろうか。
 

 昨日の日記を忘れていたので追記しておく。
 まずパンケーキを食べた。それから、イオンでチョコレートを買った。それらに関してはいつかちゃんと話したい。