『ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった』 渡辺 温

「タキシイを駛らせながら」「十人もの六月の牡丹の如く絢爛たる女が並んでいた」

昭和のきざったらしい男、嫌いじゃない。

底本:「アンドロギュノスの裔」薔薇十字社←薔薇十字社て!

『ア、秋』 太宰治

「秋は、ずるい悪魔だ。夏のうちに全部、身支度をととのえて、せせら笑ってしゃがんでいる。僕くらいの炯眼(けいがん)の詩人になると、それを見破ることができる。家の者が、夏をよろこび海へ行こうか、山へ行こうかなど、はしゃいで言っているのを見ると、ふびんに思う。もう秋が夏と一緒に忍び込んで来ているのに。秋は、根強い曲者(くせもの)である。」

秋に恋しちゃうだろ!

『ああ玉杯に花うけて』 佐藤紅緑

出だしの田舎エモがりが浮いている。

『アーサー王物語』 テニソン 菅野徳助、奈倉次郎訳

英語も載ってるので勉強に使えそう。

『ああしんど』 池田蕉園

喋ったものをそのまま書き起こしたような文体に特有のリズム感もまた良いものだ。やってみたい文体のひとつ。

『ああ東京は食い倒れ』 古川緑波

1955年頃の東京の外食事情。良い資料。

『アーニイ・パイルの前に立ちて』 小林 一三 

「負惜しみのような、うぬ惚れのような、悲哀な快楽がムクムクと胸の底を突くと、心臓がいささか高なる、呼吸が迫るようになると、セセラめく微苦笑が浮んでくる。」

「レコードに合せて流行唄を歌いながら歩く若い人達によって、賑う街の中に、我関せず焉として、焼残った東宝系の建物のみは暗闇である。」

「その報告記事は、酒のごとく強くもなければ、香りも無い、酔うことの嬉しさも、眠ることの楽しみもない。しかし、酒は興味のある人、無い人、嗜む人、嫌な人もある。水に至っては、淡々として無味、何人も手を放すことの出来ない必要品であるごとくに、彼の通信は待ちこがれる水であったのである。恐らく太平洋戦争に参加したる陸、海、空、各方面綺羅星のごとき将官の数は数万人にのぼったであろう。そして、輝かしい戦功にともなう物語は、読者をして充分に満足せしめたであろう。」

『あゝ二十年』 上村松園

早晨の爽気 早晨:夜明けから2,3時間のあいだ

『R漁場と都の酒場で』 牧野信一

「呼べば応へがある――かのやうに私は夢を忘れ、時を忘れ、忽ち作中の人物等と共に同じ空気を呼吸してしまふのが病ひであつた。」

「――ほんとうの悲しいこと――とか、或ひは、その反対のことなどゝいふものは、この現世に在るものではなくつて、人の想像の中にだけ在るのぢやないかしら――」

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