脳を持て余す
バイトが終わり、マックでサラダとバーガーを食う。バイト終わりは必ずと言っていいほど、五百円のチキンバーガーを食べている。ワンコインで食えるのありがたすぎる。
シフトがなんやかやあり、ボードには今日は休みだと書いてあったらしく、それを知らずに出てきたら「休みなのに来ちゃった人」状態になった(その後、誤解は解けて、ちゃんと出勤日だったことを確認した)。その際、「めんこいねえ」と言われ、久しぶりにそんなことを言われたもんだから、なんだか嬉しくて堪らなくなってしまった。
「めんこい」とは、一言で言えば「かわいい」の意なのだが、同時に「愛おしい」という意味もある。ちなみに、百鬼夜行シリーズの榎木津が「愛い」と書いてめごいと言うシーンがあるが、めごいは東北で使われているらしい。都会っ子の榎木津がその語彙を手に入れた経緯が気になる。
帰宅。クーラーを効かせまくった部屋の布団ほど最高な場所はない。
体は疲れているので横になっているが、脳みそは疲れていないので、脳を持て余している。
暇つぶしといえば、読むことは好きだ。好きなのだが、えいやっと意気込まないと長文は読めない。それは読書以外のことにも言える。何事も、最初の一歩が重たい。それに比べて、書くことのなんと楽なことか。とはいえ、常に実のある話を書ける訳でもないので、駄文を書き散らかすことになるのだが。
扨(これがなぜ〝さて〟なのか分からないが)、私は七月十三日から汗水垂らして労働している訳だが、その動機は本を出したいからである。そんなこと知ってるよ、と言いたいだろうが、まあ聞いてくれ。サークル参加を申し込んだのが六月三十日のことだ。そこから一週間ほどでバイトを探し、無事に働き始めた、ということになる。ブルスカでの投稿を遡ること一か月、同じく三十日に「ゲーーーッ本刷るだけで6万は飛ぶぞ そっからさらに旅費?やば 一瞬だけバイトしよかな……真面目に……」とポストしている。この時点で貯金はゼロである。馬鹿なのか? 馬鹿でしかない。行動力を持て余した馬鹿だ。さらに小林私のライブにも行くので、もっと金が要るということになる。面接で落ちたり、受かっても続けられなかったりしたらどうするつもりだったのだろう。
イベントは半年後だ。半年後、私は無事に生きているのだろうか。今までずっと今日と明日だけを見て生きてきたものだから、半年後のことを言われると急に自信が無くなってくる。
今日と明日。そうだ。私は何年も、今日と明日だけを見て走ってきた。ひょっとすると、子どもの頃からずっとそうだったのかもしれない。私の父は予定を立てるのが嫌なタイプで、ある日突然、明日からどこそこに行くから準備してくれ、と言い出す。そんな父を持っているものだから、数ヶ月前から旅行のことを考えるという経験がない。
半年後を考えた時、真っ先に生きているかどうかが気になる辺り、私はどこまでも私だな、と思った。