金魚とハムスターと人間

 ふと、「かたい」の使い分けが気になった。漢字ぺディアによれば、

 硬 対義語は軟い
 ①かたい。かたいもの。
 ②つよい。手ごわい。
 ③ぎこちない。

 堅 対義語は脆い
 かたい。しっかりしている。かたく。たしかに。

 固 対義語は緩い
 ①かためる。かたまる。かたい。
 ②かたくな。あくまでも。しっかり。
 ③もとより。はじめから。

 ということらしい。
 義理堅いは堅なのに、頑固だと固なのが面白い。汚れがなかなか落ちないことや、風邪がなかなか治らないことも頑固というから、そちらが先だったのかもしれない。
 「きず」ならば、玉に瑕の瑕とか、怪我の傷とか、欠点の疵とか。使い分けられたらかっこいい。

 雪かきをした。実家に滞在しているときの三分の一くらいは雪かきをしている気がする。
 雪のことは大好きだが、雪かきという行為はだいぶ飽きてきた。重いし。捨てる場所ないし。

 ところで、我が家には金魚が居る。名前はげんき。小2の私が命名した。
 二度の長距離引越しを耐え抜いた、それこそ元気な金魚である。
 彼とはかれこれ15年の付き合いになる。金魚の寿命は何年なのかは知らないが、まだまだ衰える気配がない。今日も、餌をくれと水槽内でビチビチ暴れている。元気でなにより。でもちょっとうるさい。

 ペットと言うと、我が家にはハムスターが居た時期がある。名前はまめ大福。いつも敬意を込めてまめさんと呼んでいた。
 まめさんは、白とグレーの、ふさふさとした長毛のハムスターである。走り去る後ろ姿はまるでモップのよう。
 御多分に洩れず、ひまわりの種が好物だ。それとウエハース。キャベツを与えると、なぜかぐるぐると回しながら食べていた。とうきびは芯の部分だけ食べるので、よく三日月型になったとうきびが寝床から出土したものである。
 ハムスターは散歩が好きだ。部屋に放してやると、すったかすったか歩き回る。そして床に置いてあるものをかじる。デロンギの足のコロコロ部分までかじっていた。
 
 ハムスターは何を考えているのか分からない。それは金魚も同じだ。ひと相手だってそうだ。
 けれども、人間は、同じ人間なら何を考えているか分かるはずだ、同じになれるはずだ、と思い込んでしまうことが多い。だから、分かり合えないことがわかったとき、人は怯える。不安や恐怖は、ときに攻撃の形を取る。また、「同じ」と「違う」で線を引く。それが差別だ。
 差別をなくすには、みんな仲良く、ではなく、みんな違うことを理解すべきだ。誰ひとりとして同じ個体はいない。男とか女とか、大人とか子供とか、そういった属性で語れることなど何もない。
 
 私は誰かを特別好きになることはない。裏を返せば、誰かを特別嫌いになることもないのだ。平等に愛しているし、平等にどうでもいいとも思っている。人類が皆、私のようなら争いは起こらないだろうが、社会も発生しないので死んでしまうだろうな。
 まあ、そもそも私の自認は人間ではないんですがね。

 そんなことをつらつらと考える昼下がりだった。