しまう
学生証を失くす。手袋を失くす。自立支援受給者証を忘れる。
ここ半年、失くしものや忘れ物が多く、私はなんて駄目な人間なんだと落ち込むことが多い。ただ落ち込んでいてもまた同じ過ちを繰り返すだけなので、対策を立てることにする。
物を出したら必ず意識的に鞄へしまう。着ているものを脱いだら、それもやはり意識的にしまう。大事なものはしまう場所を明確に決めて変えない。
しまう。物を決まった位置に戻すことと、物事を終わらせることを指す単語だ。それは片づけると言い換えても同じことである。ものを決まった場所に返すことは、物事を終わらせること。物事が終わらず中途半端では、落ち着かない。落ち着かなければイライラしたり不安になったりする。それはストレスだ。
人間はストレスに弱い生き物なので、どんなに小さなダメージでもひとつずつ、丁寧に取り除かなければならない。つまり、物を大切にすることは自分を大切にすることにも繋がる。
また、ものをしまうことは、ものを迷子からおうちに帰すことでもある。私の所有物には、ただ所有する権利だけではなく、きちんとおうちを用意して住まわせる責任も伴う。ものを大事にするということは、そういうことなのかもしれない。
現代の"もの"は、大量生産された代替可能なもので溢れている。同じだから失くしても大丈夫だ、なんとかなる、と心のどこかで思っている。だから所有の責任を忘れてしまいがちだ。そういった考え方が、大事なものを失くすことにも繋がっていく。
人間はそんなに器用に出来てはいないので、大事なものだけを大事にするのはかなりむずかしいだろう。ならば、全ての所有物を同じように大事にするしかない。
そして今日もスマホをしまう。財布をしまう。靴をしまう。せめてしまうときだけでも、ものを意識してだいじにするようにしたい。